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今回は、日産フーガの汚れたボディをバケツ1杯の水だけで水洗いします。
「バケツ1杯の水洗い」の基本を知る!
ボディの色問わずできますが、慣れが必要。
水浸しにしない「バケツ1杯の水洗い」は、マンションの駐車場でも整備中の整備工場でも絨毯を敷いたショールームでも使えます。
仕上げ前の状態をチェック
まずは、仕上げ前の様子を見てみましょう。
雨の日に走っているので雨滴の跡が残っていますが、それ以上の汚れがボディ全体にくっついています。
それは、砂埃です。
セメント工場が近くにあるため、そこを行き来する車により砂埃が巻き上げられるので、砂埃にまみれてしまいます。
ホコリまみれの状態がどんなものか、拡大画像も見てもらえればオーナーさんが悩まれる理由がよく分かります。
全体に満遍なく砂埃が降り注いでいるので、汚れの状態がハッキリとは分からないかもしれません。
まして、若干暗めな駐車場なので…
後ほどの水洗いで状態がよく分かりますのでその時にお確かめください。
バケツ1杯の水洗いを始める前に
「バケツ1杯の水洗い」という名前の通りバケツ1杯分の水を使って洗車をします。
たったバケツ1杯の水だけでどうやってボディ・ガラスを水洗いするのか。
大きなバケツでもなく、3~4リットルの水しか使いませんので理解されにくいです。
では、この不可思議な方法を理解するために、ここからじっくりお読みください。
用意するものは水とタオルだけ
- バケツ
3~4リットルの水が入れば、洗面器のように浅くなければどんなバケツでもOKです。 - 水
水道水で十分です。井戸水のご家庭なら井戸水でもいいです。 - タオル2枚
柔らかい水を吸いやすい普通のタオルです。
フェイスタオル(80cm×35cmくらいのサイズ)を選びましょう。
たったこれだけです。
シャンプーやスポンジは?
そう思ったあなた、今までの洗車の概念を一旦、どこかに置いといてください。
カーシャンプーやクリーナーなど市販の洗剤類、洗車スポンジやふき取りクロスなどは一切使いません。
洗剤・特殊な道具を使わないのに、ちょっとしたコツを覚えるだけで、ボディに優しい水洗いができるのです。
厚すぎず薄すぎず、プリントや刺繍が無いモノを選びましょう。
また、シャーリング加工されているもの(パイルの頭がカットされたモノ)やガーゼのような部分(平地)があるものより、全体がパイルでできたタオルの方が吸水性があっていいですね。
また、新品タオルには糊が効いているものもありますので、何度か使って洗濯したようなタオルが水を吸いやすいです。
粗品用や温泉のタオル(持ち帰れるものに限りますよ)は新品でも比較的水を吸いやすいのでいいかもしれませんね。
また、柔軟剤を使って洗ったタオルは手触りや柔らかさは気持ち良いですが、多くの柔軟剤は水を吸収し難いので使わないほうがいいです。
タオル選びについては、いずれ別に解説しようと思います。
水洗い用のタオルを用意しましょう
2枚のタオルを、1枚は水洗い用、もう1枚は水滴拭き取り用として使い分けながら水洗いしていきます。
水洗い用タオルの作り方
タオルに水を含ませて軽く絞り、水滴が滴り落ちない程度の水を含ませておきます。
汚れが多い時は汚れが水分を吸うので水は多めに、汚れが少ない時は若干少なめにする、など汚れ方や気温によって水分の量を調整します。
水分の量は、実際にその場面になればすぐに分かりますのでご安心くださいませ!
水滴拭き取り用タオルの作り方
水を含ませてから硬く絞ります。
硬く絞った後はタオルの繊維が寝て固くなっているので、軽くほぐして繊維内にたっぷり空気を含ませます。
こうすることで、水分が吸収しやすくなり、柔らかくなるため、傷が入りにくくなります。
タオルのたたみ方
たたみ方は、手のひらサイズになるようにします。
フェイスタオルの大きさは、3回折りたためば手のひらサイズになります。
手のひらサイズに折りたたむと、タオルの生地が8枚重なる状態になってちょうど良い厚みになります。
それ以下でもそれ以上でも使い勝手は悪いので。
水洗いにも拭き取りにもこの大きさが最適です。
「水洗い」の手順を説明
- 「水洗い用タオル」でボディに付いた汚れを水で浮かします。
- 「拭き取り用タオル」で汚れを含んでボディに残った水滴を拭き取ります。
これの繰り返しです。
ボディのパネル毎、窓ガラス毎の小さな範囲で繰り返すことで、ボディ全体を水洗いしていきます。
ボディのどこから始めて、どこを通ってどこで終わるかの順番は、自由です。
皆さんの動きやすいように水洗いしていきましょう。
堅苦しく考えないように!
とまあ洗う順番は自由ではありますが、洗い残しと拭き残しが無いように進めたいので、仕上げた部分を確認しながら進むようにします。
水洗いに限らず、仕上げた部分を確認しながら進めていけるように、後ろに下がりながら仕上げます。
そして、仕上がりは角度を変えて確認しましょう。
見る方向によって明るかったり暗かったり、見やすかったり見難かったり、同じ駐車場でも時間によっても変わりますからね。
右利きの方なら右回り(時計周り)、左利きの方なら左回り(反時計回り)で後ろに進んでいけば、水洗いする都度その部分のチェックができるのです。
参考に、これは右利きの場合の順番です(時計回り)
- フロントガラス(左半分)
- ボンネット(左半分)
- フロントフェンダー(左)
- フロントバンパー(左半分)・左ライト・グリル
- フロントバンパー(右半分)・右ライト
- ボンネット(右半分)
- フロントフェンダー(右)
- フロントガラス(右半分)
- フロントピラーからリアピラー、バックミラー、前後の窓ガラス・ドアの上半分
- ドアの下半分
- 屋根(右半分)
- リアガラス(右半分)
- リアフェンダー(右)
- リアバンパー(右半分)
- トランク(全体)
- リアバンパー(左半分)
- リアフェンダー(左)
- リアガラス(左半分)
- リアピラーからフロントピラー、バックミラー、前後の窓ガラス・ドアの上半分
- ドアの下半分
- 屋根(左半分)
書き出すと長いっ!
左利きなら逆周り(「右」を「左」に置き換えてください)になるということです。
作業しながら流れで説明できれば、とても簡単で分かりやすいんですけどね。
タイヤ・ホイールが抜けてるよ!
ここまでで、そう思われた方もいるはずです。そうなんです。タイヤ・ホイールが順番に入っていません。
ですが、これでいいのです。何故なら…タイヤ・ホイールは水洗いしないからです!
タイヤ・ホイールはP8コートとピッチレスコートで仕上げてしまいますから。
「タイヤ・ホイール」については、水洗いしない仕上げ方を詳しく解説しますので、そちらをご覧くださいませ。
ここから実際に水洗いしてみましょう
この水洗いは簡単に出来る?ホント?って言われます。
「水洗い」とは何をすることか、もう良くお分かりですね。
水を使ってボディや窓ガラスに付いた汚れを除去していくことを「水洗い」と言います。
ただそれだけのことなのですが、皆さんこれがどうもうまく出来ないようで頻繁にお悩み相談をもらいますが、ちょっとしたコツだけなので「簡単にできます」から。
見てもらえば一目瞭然です。
今さらですが、この水洗い方法はクリーティングコートでお手入れしているボディに適した水洗い方法です。
すべてのコーティング、ワックスで施工したボディに対応しているわけではありません。
ですから、クリーティングコート施工前のボディを水洗いする場合は注意が必要です。
また、泥が山ほど載った状態でもバケツ1杯の水洗いでなんとかなるでしょうが、手間と時間を考えたら、事前にたっぷりの水で落としてから作業するのが現実的です。
(火山灰や砂が載っているような場合は非常にキツイですよ)
もしたっぷりの水で洗車した場合は、隙間に入った水もしっかり取り除いた上で、その後にクリーティングコートを施工するようにしましょう。
いつまでも隙間から水が流れ出てくると非常に施工しにくくなり、また、仕上がりが汚く本来の効果が出にくいので、徹底的に水気を吸い取るか、乾くまで待ってからクリーティングコートで施工する必要があります。
雨でズブ濡れになった車を洗車するときも同じく厄介です。
「水洗い」は如何に力を抜くかがカギ
水洗い用タオルも、拭き取り用タオルも、力を掛けずにとにかく軽く撫でます。
タオルを滑らせる程度の力以外は要りません。
押さえつけるなんて以ての外なので、余計な力を抜いてしまいましょう。
極端に言うと、下の画像のようにタオルの重さだけで水洗いできてしまいます。
まずはフロントガラスを洗う
早速水洗いいってみましょう。
いきなりボディを水洗いするのは不安という方、フロントガラスでタオルの滑らせ方とか力加減を試してみましょう。
「水洗い用タオル」でフロントガラスの半分をしっかり水洗いして、水で落ちる範囲の汚れを水滴の中に浮かせます。
ワイパーを立てられる車種はしっかり立てて、ワイパーを持ちあげられない車種はワイパーが動く範囲で少しだけ持ち上げて、隅々まで水洗いします。
花粉や黄砂の時期は大変な事になってるはず
続いて、汚れを含んで浮き上がっている水滴を「拭き取り用タオル」で拭き取っていきます。
上の写真では水滴がキレイに浮き上がっていますが、窓ガラスコートを使う前は水滴が浮かず(ベチャっと貼り付いた感じで)滑りが悪いこともあるので、水滴がキレイに拭き取れないことがあります。
そんな時は、多少水滴が残っていても構いません。
後から窓ガラスコートで仕上げますから気にせず水洗いを進めてしまいましょう!
押さえつけずにタオルにしっかり吸わせるイメージで。
しっかり拭き取り用タオルが水滴を吸い取ってくれました!
タオルにクシャッとシワが入らないように、平らな状態で拭き取ればタオルの面積を有効に使えますよ!
タオルをワイパーとガラスの間に挟み込んで、静かに引っ張れば、ワイパーゴムの汚れ落としができますよ。
これでフロントガラス半分の水洗いが終わりました。
続いて、ボンネットを水洗いする
ボンネットの中央部分までしっかり手を伸ばして、押さえつけず撫でていきます。
スピードは文章や画像では上手くお伝えし難いので、是非、動画でご確認ください。
水滴の浮き具合はどうでしょうか?
そもそも、浮いた水滴の様子が見えますか???
拡大して見てくださいね。
見難くてすみません…
同じく、押さえつけず撫でながら滑らせていきますが、拭き取りは2度拭きをしましょう。
1度目の拭き取りで、一旦全ての水滴を粗く吸い取りましょう。小さな水滴が残った状態です。
次に、1度目で水滴を拭き取ったタオルの面を裏返して、残った小さな水滴をキレイに吸い取ります。
後はこれの繰り返しをすれば水洗い完了です!
なぜタオルの面を変えるのか
拭き取り用タオルには、しっかり水滴を吸収する使命がありますから、できるだけ水分を吸収していない面を使わなければなりません。
粗拭きした面には多くの水分が含まれていますから、裏返して、水分の少ない面を使う必要があるのですね。
ただ、これは1枚のタオルを「粗拭き」「仕上げ拭き」の兼用にした場合の使い方です。
「粗拭き用」と「仕上げ拭き用」の2枚のタオルを用意して使い分けても構いません。
自分が一番やりやすい方法を選びましょう!
水分の少ない面を使うため。
真っ黒になったタオルは時々洗う
水洗いしてくと、タオルには汚れが付きます。
雨の日や雪の日に走った後はすぐに真っ黒になってしまうので、バケツの水で汚れを落としましょう。
もみ洗いとか折り畳んであるタオルを開いて洗っていませんよね。
バケツの水の中でタオルをゆらゆら何度も揺らすだけで汚れはある程度落ちるからです。
タオルに付いた黒い色の汚れを全部落ちるまで洗わなくて大丈夫です。神経質になり過ぎないように。
気になるようなら、もみ洗いするなどしてもらって結構です。
タオルが綺麗になるに越したことはありませんから。
水滴が吸い取りにくくなった拭き取り用タオルも、汚れを含んだ水滴を吸い取ることで汚れていきますので、水洗い用タオルも拭き取り用タオルも、どちらも時々洗いましょう。
縦の面、フェンダーを水洗いする
これまでは、ボンネットという平面近い部分の水洗いでした。
ボディには横の面もありますが縦の面もありますので、続いては、フェンダーやドアなど縦な面の水洗いをしてみましょう。
力を抜いて撫でます。何度も書いてしまいますが、これが重要なのです。
ボンネットは横にタオルを滑らせましたが、フェンダーの上の方は横長ですから横に滑らせますが、下の方は幅が狭くなりますから、タオルを縦に滑らせます。
横に滑らせても問題は無いのですが、作業性があまり良くないので、そのような場所は、縦に滑らせて重力を利用しましょう。無駄な力が入らず滑らせやすいです。
横に滑らせた方がやりやすい場合もありますが、縦に滑らせた方がやりやすい場合もあります。
ボディの形状によって様々なので、滑らせやすい方向を見つけてみましょう。
続いて、浮き上がった水滴を拭き取りますが、タオルに手を軽く添えて水滴を吸い取っていきます。
水洗いの時と同じく、縦に吸い取りやすい部分は縦に、横に吸い取りやすい部分は横に動かします。
そして、1度目は粗拭き、2度目は仕上げ拭きの2度拭きでキレイに吸い取りましょう。
縦と横を組み合わせた拭き取り方法もありますが、それはまた別の機会に解説しますね。
で、今回は力加減を強調したかったので、タオルに手を当てて滑らせる使い方ではなく特殊な方法で拭き取りをしてみます。
その方法とはコチラ。
極端な例で紹介しましたが、この方法で水滴を拭きとってみると、
ただボディにタオルを当てて上に持ち上げただけです。
タオルを当てた部分だけタオルが水滴を吸い取ってくれました。
これで、「力は不要、手を添えるだけ」ということがお分かり頂けたでしょう。
タオルの能力、重力を最大限に利用するのです。
「拭き取り」は「吸い取り」
「拭き取る」には「擦る」ようなイメージもついてまわりますが、水洗いの「拭き取り」は擦ることはありません。
タオルが水滴を吸収する力を最大限利用して水滴を「吸い取る」ということです。
擦ることも力もどちらも不要です。
時々出てくる「撫でる」と表現することが、これで分かってもらえましたかな?
力を入れることで傷が入りやすくなるだけでなく、タオルを押しつぶすことで水滴が吸い難くもなります。
「力を掛けずに吸い取る」が拭き取りの鉄則です。
第1に、「水洗い」や「拭き取り」で力を入れすぎていること。
第2に、水洗いでは落ちない汚れまで水洗いだけで落とそうとすること。
水滴を吸収し難いタオルをお持ちなら、試しに窓ガラスを水洗いした後にその吸収し難いタオルを使って水滴を拭き取りしてみましょう。
力を入れて拭いた時と力を抜いて拭いた時と水滴の残り具合がかなり違うはずです。
タオルを滑らせるスピードも早くしたり遅くしたり試してみると、拭き取りのことがもっとよく分かりますので、ぜひ試しながら遊んでみてください。
ボディの状態によっては説明通りにいかないかもしれない
状態の良くないザラザラボディの場合は驚くほど滑りませんので、後からピッチレスコートで仕上げるなら多少の水滴が残って(無視して)も構いません。
そういったボディは、恐らく水が貼り付いて「びちゃー」っとなるので水滴にはなりません。
余計拭き取り難いです。
多くのザラザラボディを水洗いすると、水洗い用、ふき取り用のどちらのタオルもほぼ「ちくわ状」になります。
コーティングやピッチレスコートの保護膜が無いため摩擦が大きく滑らないので、丸まってしまうのですね。
このようなボディの水洗いはストレスが貯まりますが少しだけ我慢です。
水で落ちる汚れだけ落ちれば多少の水滴が残ってもOKです。
別車種ですが「ちくわ状」とはこんな状態です。見たくない嫌な画ですね。
そのようなボディは、ピッチレスコートで保護膜を作ってあげましょう。
1度ピッチレスコート仕上げをして保護膜を作っただけで、水洗いの際のタオルの滑り方や水滴の吸い取り方が天と地ほど変わります。
手っ取り早くボディをスベらせたい時は、こちらの記事をご参考に。
今回の水洗いをまとめると…
今回クローズアップしたのは水洗いの基本の「き」です。
ぜひ参考にボディの水洗いを楽しんでください。
- 水をたっぷり含ませた「水洗い用タオル」を作る。
- 水分を吸収しやすい固く絞った「拭き取り用タオル」を作る。
- 水洗い用タオルをすべらせ(撫で)ながら小さな範囲を洗う。
- 汚れを浮き上がらせた水滴を、拭き取り用タオルで粗く拭き取る。
- 残った水滴を、拭き取り用タオルを裏返して丁寧に拭き取る。
- 適宜、タオルを洗いながら進める。
このバケツ1杯の水洗いはピッチレスコートで仕上げたボディを水洗いするために適した方法です。
タオルを正しく準備して、タオルに手を添えるだけの力加減で、適度なスピードで滑らせれば、簡単なのにしっかり水洗いできます。
「絶対に傷が入らない」ことは「絶対にありません」が、この方法は慣れれば傷が入りにくいです。
もちろん、水を掛けて水洗いした後の水滴を拭き取る際にも使えますので、よろしければ。
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